2011年度 卒業論文
地震観測データに基づくアカデミーコモンの振動特性評価
明治大学 理工学部 建築学科 構造システム研究室
4年9組203番 奥山 浩平
研究目的
建築構造物の耐震安全性を確認するためには、建築構造物の実現象、とりわけ地震時の挙動を正確に把握する必要がある。特に、固有振動数や減衰定数は、動的外力に対する建物の応答に大きな影響を与える要因であり、実測による実現象の把握が必要である。よって、構造モニタリングにおける常時微動測定に加えて地震応答観測を行うことで、より高精度な振動特性評価を行うことができる。そこで、本研究では、地震観測データに基づいて建物の振動特性について評価し、地震の特性が建物の振動特性に与える影響や、地震時における建物の振幅と建物の振動性状との関係について検討する。地震特性について、観測点計測震度、地震継続時間、地震規模、震央距離、震源距離、さらには発生地域として内陸型地震もしくは海洋型地震といった指標を用いる。また、最大加速度、加速度絶対値平均、加速度二乗和平方、フーリエ振幅などの建物の振幅について評価をし、を評価する。これらをもとに常時微動測定時データと比較検討を行う。
建築物は竣工後、地震などの自然災害により損傷を受けることどぇ、徐々に変形やひび割れなどが発生し、当初の性能を発揮できなくなることがある。建築物の振動測定を定期的に行うことは、地震が起きた後の振動特性の変動を調査するのに有効である。なかでも減衰定数は、正しく評価する必要があり、ヘルスモニタリングを行う上でも重要事項の一つである。
第1章 序論
1.1 研究背景
建築構造物の耐震安全性を確認するには、建築構造物の実現象、とりわけ地震時の挙動を正確に把握する必要がある。特に、固有振動数、および減衰定数は、動的外力に対する建物の応答に大きな影響を与える要因であり、実測による実現象の把握は重要である。高精度の応答予測をするためには、実現象に忠実な固有振動数、および減衰定数の設定を行う必要がある。しかし、質量や剛性などから計算される固有振動数は過大評価されている可能性があり、構造設計と実現象では固有振動数が大きく異なる場合がある。また、経験的に与えられる減衰定数の設定の精度は、固有振動数よりも低い。実測に基づく1次減衰定数は時間変動しており、一義的に値を定めることが出来ない。
わが国の耐震・耐風設計で一般的に用いている1次減衰定数は、鉄骨造では2.0%、鉄筋コンクリート造では3.0%などと設定されるが、これらの値の理論的な根拠は明確ではなく、様々な実験・観測記録の分析に基づいて経験的に設定しているのが現状である。また、高次モードの減衰定数については、固有振動数に比例して大きくなる剛性比例型で与えることが多い。しかし、実際の高層建物では、高次モードの減衰定数が低次モードの減衰定数より大きくなるものの、各次モードの固有振動数と比例関係になっていない。そのため、剛性比例型で与えられた高次モードの減衰定数については過大評価している可能性がある。
建築構造物は、使用開始からの経過年月による劣化、地震や風といった自然災害による損傷などから、当初の構造性能、および耐震性能を十分に発揮できなくなることがある。これらの劣化や損傷に対して、構造性能を確認するためには、定期的に振動測定を行う構造ヘルスモニタリングが必要である。構造ヘルスモニタリングにおける振動測定では、比較的容易な常時微動測定を用いることが多い。振動測定を利用した構造ヘルスモニタリングには、損傷による固有振動数や振動モードの変化に着目した研究が多く、構造ヘルスモニタリングの指標としての有用性が示されている。
1.2 研究目的
建築構造物の耐震安全性を確認するためには、建築構造物の実現象、とりわけ地震時の挙動を正確に把握する必要がある。特に、固有振動数や減衰定数は、動的外力に対する建物の応答に大きな影響を与える要因であり、実測による実現象の把握が必要である。よって、構造モニタリングにおける常時微動測定に加えて地震応答観測を行うことで、より高精度な振動特性評価を行うことができる。
そこで、本研究では、地震観測データに基づいて建物の振動特性について評価し、地震の特性が建物の振動特性に与える影響や、地震時における建物の振幅と建物の振動性状との関係について検討する。地震特性について、観測点計測震度、地震継続時間、地震規模、震央距離、震源距離、さらには発生地域として内陸型地震もしくは海洋型地震といった指標を用いる。また、最大加速度、加速度絶対値平均、加速度二乗和平方、フーリエ振幅などの建物の振幅について評価をし、を評価する。これらをもとに常時微動測定時データと比較検討を行う。
1.3 論文構成
第1章 序論
第1節では本研究の背景を述べ、第2節では研究目的を述べる。また、第3節には論文構成を記す。
第2章 対象建物と測定概要
第1節では対象建物である明治大学駿河台校舎アカデミーコモンの概要を記す。第2節では対象建物における振動測定の概要について述べる。
第3章 振動性状の算定方法
振動特性の評価は平面状のX方向、Y方向に加えて、ねじれ成分(θ方向)の3方向で行う。第1節ではねじれ成分であるθ方向の算定方法について述べる。第2節では対象建物における固有振動数の算定方法について述べ、第3節では対象建物における減衰定数の算定方法について述べる。
第4章 地震特性の調査
第1節では、観測地震概要を示す。第1節では、振動特性の算定方法を示す。
第5章 振動振幅と振動特性
第1節では、振動振幅と振動特性を示す。第2節では、地震属性による振動振幅と振動特性を示す。
第6章 地震特性と振動特性
第1節では、地震特性と振動特性地震を示す。第2節では、属性による地震特性と振動特性を示す。
第7章 結論
本研究で得られた成果について述べる。
2011年度 卒業論文
地震観測データに基づくアカデミーコモンの振動特性評価
=論文要旨=
明治大学 理工学部 建築学科 構造システム研究室
4年9組203番 奥山 浩平
1 研究背景
建築構造物の耐震安全性を確認するには、建築構造物の実現象、とりわけ地震時の挙動を正確に把握する必要がある。特に、固有振動数、および減衰定数は、動的外力に対する建物の応答に大きな影響を与える要因であり、実測による実現象の把握は重要である。高精度の応答予測をするためには、実現象に忠実な固有振動数、および減衰定数の設定を行う必要がある。しかし、質量や剛性などから計算される固有振動数は過大評価されている可能性があり、構造設計と実現象では固有振動数が大きく異なる場合がある。また、経験的に与えられる減衰定数の設定の精度は、固有振動数よりも低い。実測に基づく1次減衰定数は時間変動しており、一義的に値を定めることが出来ない。
わが国の耐震・耐風設計で一般的に用いている1次減衰定数は、鉄骨造では2.0%、鉄筋コンクリート造では3.0%などと設定されるが、これらの値の理論的な根拠は明確ではなく、様々な実験・観測記録の分析に基づいて経験的に設定しているのが現状である。また、高次モードの減衰定数については、固有振動数に比例して大きくなる剛性比例型で与えることが多い。しかし、実際の高層建物では、高次モードの減衰定数が低次モードの減衰定数より大きくなるものの、各次モードの固有振動数と比例関係になっていない。そのため、剛性比例型で与えられた高次モードの減衰定数については過大評価している可能性がある。
建築構造物は、使用開始からの経過年月による劣化、地震や風といった自然災害による損傷などから、当初の構造性能、および耐震性能を十分に発揮できなくなることがある。これらの劣化や損傷に対して、構造性能を確認するためには、定期的に振動測定を行う構造ヘルスモニタリングが必要である。構造ヘルスモニタリングにおける振動測定では、比較的容易な常時微動測定を用いることが多い。振動測定を利用した構造ヘルスモニタリングには、損傷による固有振動数や振動モードの変化に着目した研究が多く、構造ヘルスモニタリングの指標としての有用性が示されている。
2 研究目的
建築構造物の耐震安全性を確認するためには、建築構造物の実現象、とりわけ地震時の挙動を正確に把握する必要がある。特に、固有振動数や減衰定数は、動的外力に対する建物の応答に大きな影響を与える要因であり、実測による実現象の把握が必要である。よって、構造モニタリングにおける常時微動測定に加えて地震応答観測を行うことで、より高精度な振動特性評価を行うことができる。
そこで、本研究では、地震観測データに基づいて建物の振動特性について評価し、地震の特性が建物の振動特性に与える影響や、地震時における建物の振幅と建物の振動性状との関係について検討する。地震特性について、観測点計測震度、地震継続時間、地震規模、震央距離、震源距離、さらには発生地域として内陸型地震もしくは海洋型地震といった指標を用いる。また、最大加速度、加速度絶対値平均、加速度二乗和平方、フーリエ振幅などの建物の振幅について評価をし、を評価する。これらをもとに常時微動測定時データと比較検討を行う。
1.3 論文構成
第1章 序論
第1章は3節から成る。第1節では本研究の背景を述べ、第2節では研究目的を述べる。また、第3節には論文構成を記す。
第2章 対象建物と測定概要
第2章は2節から成る。第1節では対象建物である明治大学駿河台校舎アカデミーコモンの概要を記す。第2節では対象建物における振動測定の概要について述べる。
第3章 振動性状の算定方法
第3章は3節から成る。振動特性の評価は平面状のX方向、Y方向に加えて、ねじれ成分(θ方向)の3方向で行う。第1節ではねじれ成分であるθ方向の算定方法について述べる。第2節では対象建物における固有振動数の算定方法について述べ、第3節では対象建物における減衰定数の算定方法について述べる。
第4章 地震特性の調査
第4章は3節から成る。第1節では、観測地震概要を示す。第1節では、振動特性の算定方法を示す。
第5章 振動振幅と振動特性
第5章は3節から成る。第1節では、振動振幅と振動特性を示す。第2節では、地震属性による振動振幅と振動特性を示す。
第6章 地震特性と振動特性
第6章は5節から成る。第1節では、地震特性と振動特性地震を示す。第2節では、属性による地震特性と振動特性を示す。
第7章 結論
本研究で得られた成果について述べる。
3 結論
アカデミーコモンを対象に、常時微動測定を実施し、平面上の水平2方向とねじれ方向について1次、2次、3次モードの固有振動数、減衰定数、高さ方向のモード形状を評価し、評価し、経過月に伴う変化とその推移の傾向について検討を行った。
1) 2009年12月の常時微動時における固有振動数は、1次モードではX方向が0.737 [Hz]、Y方向が0.585[Hz]、θ方向が0.841[Hz]、2次モードではX方向が2.210 [Hz]、Y方向が1.771[Hz]、θ方向が2.734[Hz]であり、3次モードではX方向が4.057[Hz]、Y方向が2.970 [Hz]、θ方向が4.140[Hz]であった。
2) 常時微動時における固有振動数は、各方向、各次モードとも竣工からの経過月に伴い、徐々に減少している。また、同一測定日における固有振動数のばらつきは各方向、各次モードともに変動係数で1.5[%]以下と小さい。
3)常時微動時における減衰定数は、竣工からの経過月に伴い1次モードではX方向が0.5~1.5[%]、Y方向が0.5~1.5[%]、θ方向が0.4~1.0[%]、2次モードではX方向が1.0~2.0[%]、Y方向が1.0~2.0[%]、θ方向が1.0~2.0 [%]、3次モードでは、X方向が1.0~6.0[%]、Y方向が1.0~6.0[%]、θ方向が1.0~6.0[%]で推移している。
4)高さ方向における1次のモード形状では、各方向ともに振幅が階高に対して比例的に大きくなる。2次モードのモード形状では、4階に腹の位置が、8階と9階の間に節の位置がある。また、屋上階の1次モードのフーリエ振幅は、最大フーリエ振幅はX方向、Y方向が0.001~0.007[gal]で推移している。θ方向は0.000~0.002[gal]で推移している。
5) 強風時では、振動振幅の減少に伴い、1次減衰定数は上昇した。
6) 強風時のモード形状は、各方向、各次モードの腹の部分の最大フーリエ振幅は、X方向、Y方向が0.04~0.15[gal]、θ方向は0.03~0.08[gal]で推移しており、常時微動時と比べると、形状は同じだが、最大フーリエ振幅の値は10倍~20倍となっている。
参考文献
1)日本建築学会:建築の減衰 日本建築学会 2000
2)大崎順彦:新・地震動のスペクトル解析入門 鹿児島出版社 1996
3)山本茂和:実測データに基づく明治大学駿河台校舎高層建物2棟の振動特性に関する研究, 2009年度
謝辞
この度、構造システム研究室での三年間の研究成果として本論文を完成させるに至りました。完成させるに至ったのは多くの方々の御支援、御指導のおかげです。心から感謝し、御礼申し上げます。
特に、本論文をすすめるにあたり、熱心にご指導いただいた荒川利治先生には、深く感謝申し上げます。研究のみならず、ゼミにおいても熱心にご指導いただき、数多くを学ばせていただきました。また、普段の生活においても、多くの助言をいただき、この一年で人間的にも成長できたのではないかと思います。アカデミーコモンの振動測定を行うにあたり、明治大学管財課、警備関連の方々のご理解とご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
荒川研究室で三年間、ともに学び、遊び、楽しみながら生活させてもらった研究生に、深く感謝します。荒川先生をはじめ先輩の山本さん、原田さん、同期の仲間たちと荒川研究室で皆と一緒に過ごせた三年は、かけがえのない貴重な時間になりました。特に先に卒業した森本君、長山君、町垣君、春藤さん、戸舘君には大変お世話になりました。また、研究室の後輩の方々には、ご迷惑をおかけした点もあったと思いますが、ご協力により有意義な学生生活を送ることができました。今後も友人として、よろしくお願いします。
最後になりますが、これまでの二十三年間、生活の援助や助言をしていただき、暖かく見守ってくれた父と母に深く感謝いたします。ありがとうございました。
平成二十四年一月二十四日 火曜日
明治大学理工学部建築学科 構造システム研究室
奥山 浩平